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【関西選手権】今年もドラマが待っていた! 決勝戦 大院大×大体大を見てきた!

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関西学生サッカー選手権もいよいよ決勝戦。準決勝ではFW#9井上泰斗(C大阪U-18)を出場停止で欠きながら桃山学院大を破って決勝進出を果たした大阪学院大学。2トップに井上と#19佐々木佳亮(高梁高)、#8川崎健太郎(名古屋U-18)とキャプテン#14三木水都(大阪学院大高)のダブルボランチ。CBには#5生駒稀生(鹿児島城西高)と2年生の#117田中真照(大阪学院大高)が入りました。

対するはリーグでもダントツのトップをひた走る大阪体育大学。2トップに#9林大地(履正社高)と#10末吉塁(初芝橋本高)、右サイドは#19君垣隆義(米子北高)、左サイドに#20西田恵(関西大北陽高)、CBは#4菊池流帆(青森山田高)と#5田中駿汰(履正社高)のコンビ。

序盤は互いに慎重な試合運び。5分、大体大MF#20西田が左サイドからななめのクロスFW#9林大地がうまくゴール前に入ったように見えたがオフサイド。

7分、今度は中央でボールを持った大院大MF#14三木がスルーパス。右サイドの#11杉山蒼太(大阪産業大高)が絶妙のタイミングで抜け出したように見えたが、これもオフサイド。

22分、大院大MF#7和田幸之佑(久御山高)が左サイドから相手を交わしながらドリブルでエリア内に切り込むも相手DFがクリア。

23分に給水タイムが取られ、ここからは大体大が支配する展開に。27分、右サイドの#19君垣がエリア内にドリブルで切り込み倒されてPK獲得。これを#9林大地が決めて大体大が先制!

続いて30分、左サイドから大体大#20西田がマイナス気味のクロスにボランチ#8堀内颯人(奈良育英高)がシュートもGKキャッチ。

大院大の4-4-2に対して大体大は4-1-4-1だったり4-1-3-1-1だったり、大院大3ラインのあいだあいだに選手が入ってきてかき回す。選手間の距離を均等に保つ大院大の美しいフォーメーションが仇となる感じがしました。いつもならコンパクトな陣形から局面局面で数的優位を作ってボールを奪ってきた大院大も、なかなかうまくいかないという感触を持ちながらプレイしていたと思います。

かといってチームが意気消沈する様子はありません。キャプテン#14三木水都が常に大きな声で仲間を鼓舞します。

「いいよ!悪くない!」
「粘り強く!」
「(プレスする選手へ向けて)ゴーゴーゴーゴー!!」

リーグでもフルタイム出場しながら常に声をあげ続けるキャプテン三木。大院大の一体感は彼から生まれていると言っても過言ではないでしょう。

両手を上げながら大声でチームを鼓舞するキャプテン#14三木水都

40分、ここは俺がなんとかせねばと大院大FW#9井上が巧みなボール運びからミドルシュートを放つも枠の上。井上は1.5列目のような位置でボールを受けては左右の出しどころを探っていたのですが、サイドの選手がやや慎重になりすぎて動き出しが鈍く連携がうまく取れません。強力な相手だけに気持ちはわかるのですが、やはりサイドの選手の思い切った動き出しがほしいところ。逆に大体大の両SBの駆け引きのうまさを褒めるところかもしれません。

大体大が1点リードのまま前半が終了。

後半開始。前半は中盤をズタズタにされながらなんとか最後のところでふんばって耐えてきた大院大でしたが、後半は安定した守備を見せます。何がどう変わったのかわかりにくかったのですが、4-4-2は変えないまま中盤が少し下がり気味になって最終ラインとの間を狭くしたことでブロック内に大体大の選手が侵入しにくくなったのかもしれません。守備は安定したものの2トップとの距離が開いてボールがなかなか渡らず攻撃が単調に。大院大は1点を追う立場ですがどこに攻撃の手がかりがあるのか。

と思っていた矢先の57分、大院大が2枚替え。FW#19佐々木佳亮に代わってFW#195尾野匡祐(聖和学園高)、右サイド#11杉本蒼太に代わって#80和田広矢(和歌山北高)が入ります。この#80和田が右サイドで思い切った動き出しを何度も続け、そこにロングボールを合わせることで次第に大院大にチャンスの芽が。

60分、その和田が得たゴール正面やや右、少し遠目からのFK。#9井上が右足で直接狙うも壁に当たり、このボールをGKがうまく処理できず大院大の右CK。キッカー#13谷口祐貴の左足からゴール前に入ったボールは混戦からファーへ流れて左のタッチライン際をうまく繋いでFW#195尾野匡祐が左サイド深いところからのクロス、しかしこれはGKがキャッチ。

大体大も大院大が8人で形成するブロックに手を焼きながらもサイドでのパス交換からエリアへの侵入を図る。しかし大院大が球際厳しく追い立てるため大体大はファールでFKを得るのがやっと。そのFKもGK直接キャッチやファーのエンドラインを超えるなど精度を欠く。

73分、大院大右SB#6生藤弘樹(滝川二高)が敵陣右サイドで倒されFK。#13谷口の左足からは流れたボールは混戦からFW#9井上に渡り、つきまとう相手をかわそうと中央から左へとボールを持ち出し強引にシュート! うまく撃ったと思ったが大体大CB#4菊池流帆が体を投げ出してボールをはじき出す。雄叫びを上げる菊池くん。

攻撃のリズムを少しずつ取り戻しながらもなかなかチャンスを物にできない大院大。じれるムードを察して、すかさず声を上げるキャプテン三木。

「大丈夫大丈夫!まだ15分あるよ!」

ここで大院大ベンチが再び動く。78分、左サイドのMF#7和田幸之佑に代わってFW#20伊集院雷(鹿児島城西高)を投入。大院大は左から#20伊集院、#9井上、#195尾野の3トップのような形に。この#20伊集院雷も#80和田広矢同様、思い切った動き出しとスピードで大体大の最終ラインを脅かしチャンスを生み出します。

84分、大院大DFラインからのロングボールで#20伊集院が裏を突き、相手DFを振り切って左サイドからニアへシュート! ここは大体大GK#1立川小太郎が立ちはだかりボールを掻き出します。

大院大の左からのCKが続き、ついに86分、キッカー#14三木の右足から放たれたボールはゴール前に落ちてもみくちゃな状態に。最後はCB#117田中真照が押し込んで同点ゴール! 土壇場で大院大が追いつきました!

大体大はここで#20西田恵に代わって#7浅野雄也(四日市四郷高)を投入。この浅野が90分で試合を決めてやるとばかりにフル回転で躍動。アディショナルタイムに入ったところでドリブルで最終ラインを切り裂きGKと1対1に。しかし大院大GK#1齋藤和希(C大阪U-18)がすばらしい飛び出しでボールを抱え込んでシュートを阻止。

続けて大体大のFKから再び#7浅野が左足でシュートを放つがバーを超える。

90分では勝負がつかず延長戦に突入。延長戦は10分ハーフ。

延長前半、大体大#7浅野雄也が右サイドからカットインしてエリアの外からミドルシュート! GKがジャンプ一番片手でなんとか掻き出しCKに逃れる。

そして大体大はショートコーナー。ゴール前に上がっていたCB#4菊池流帆が右から強引にえぐって中央へマイナスのグラウンダークロス。ダイレクトに放たれたシュートはブロックされ、そこから混戦になり最後は大体大がゴールへ押し込んだが判定はオフサイド。

続けて大体大のエースストライカー#10末吉塁がPA左角からシュートを放ったが惜しくも枠の右。

延長前半ATにようやく大院大のチャンス。左サイドのスローインから#20伊集院雷が大体大CB#4菊池を振り払ってシュートまで持ち込むがゴールならず。

延長前半が終了し1~2分ほどの時間を挟んですぐに延長後半開始。

103分、大院大はボランチの#8川崎健太郎に代わってMF#46飯塚皓平(尚志高)、大体大も同じ時間にこちらもボランチ#8堀内颯人に代わって#33小塚祐基(帝京長岡高)、ともに4人目の交代。あとで知ったのですがこの試合、交代は5人までできるとのこと。

105分、大院大がまたもや#20伊集院雷の俊足を活かしてカウンター。しかしDFにカットされる。

延長後半AT、大院大が左サイドからトップの3人でチャンスを作り最後ゴール前で#9井上にフリーでボールが渡ったがファールのホイッスル。そのボールが渡る前のプレイでキッキングの反則を取られた模様。

結局延長戦でも決着はつかず勝負の行方はPK戦に委ねることに。

先攻は大体大、後攻は大院大のABAB方式。第1キッカーは両者ともに決めて、第2キッカー大体大#7浅野雄也も決める。

大院大の第2キッカーはキャプテン#14三木水都。思い切って左上に放ったシュートはなんとクロスバー! 沸き上がる大体大応援団、ピッチにうずくまる大院大キャプテン三木。

まだ第2キッカーなので勝負はわからないわけですが、三木がいつまで経っても立ち上がれません。これまでも、そしてこの試合の110分間も仲間に声をかけ続け、声だけでなくハードワークと気迫のこもったプレイでチームを引っ張ってきた三木。その一体となったチームでようやく強豪大体大をPK戦まで追い込んだのに、まさか自身がミスキックしてしまうとは。

センターラインで肩を組んで並んでいたチームメートが駆け寄ってようやく立ち上がり顔を上げて列に戻りましたが天を仰がずにはいられないといった様子。

第3、第4キッカーは両者とも成功していよいよ第5キッカー。大体大が決めれば優勝が決まります。キッカーはエースFW#10末吉塁。右足から放たれたボールはゴールの右隅へ! しかし大院大GK#1齋藤和希が見事に反応しゴールを阻止!!!

ものすごい歓声が大院大ベンチと会場全体から上がりました。勝負はまだ終わらない! 大院大第5キッカー#46飯塚は確実にゴール右隅にボールを沈め、第6キッカーへ。

大体大、蹴るのはMF#6平田健人(星稜高)。右足で放ったボールは左下。これにも大院大GK齋藤は反応し体でブロック!!! 連続のPKストップに会場のボルテージは最高潮に!!!

大院大の第6キッカーはCBの#117田中真照。2年生に大役が回ってきました。少し体をひねって放った右足のシュートはゴールの右隅へ吸い込まれ、大阪学院大学が関西選手権初優勝~~~~!!!!!!

蹴った田中とGK齋藤に駆け寄る大院大イレブン、ベンチメンバーたち。涙が止まらず手で顔を覆うキャプテン三木。ピッチに倒れ天を仰ぐ大体大GK立川小太郎。

昨年に引き続き、今年もドラマチックな決勝戦となりました。MOMは同点ゴールと最後のPKを決めた大院大CB#117田中真照ということになるのでしょうが、これまで大院大のサッカーをずっと見てきた人たちは14番のユニフォームを纏うチームの大黒柱に一番の拍手を贈りたくなったのではないでしょうか。

この関西選手権のベスト4、大阪学院大学、大阪体育大学、桃山学院大学、阪南大学が全国大会である総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントに関西代表として出場します。個の力と同時にチームの団結力が勝負を決めることを大阪学院大学が示してくれました。どのチームも今一度こころを一つにして全国大会に挑んでほしい、そう強く感じた決勝戦でした。

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